ある日のこと、僕はベルと一緒に学校へ行こうとしていた。
真っ青な空と、時々感じる風の暖かさは春を感じさせた。

「ベル、ハンカチは持った?
外は花粉が凄いみたいだからね。」

と、そんな呑気な事を考えているのは僕だけらしく。
ベルと母さんは、花粉のことを気にかけている。

「ポート、あなたもよ。
あなたは花粉症じゃないけれどハンカチを持つのよ?」

「はーい」

母さんは、エチケットってヤツを大切にする。
僕にはよく分からないけど、簡単に言うとマナーみたいな物らしい。

「じゃあ、行ってらっしゃい二人とも。」

母さんは、僕とベルの頭を撫でると、ポンと背中を叩いた。
これは、母さんのおまじないでこれをやってくれると何もかも上手く行くそうだ。
母さんも、お祖母ちゃんにやってもらっていたらしい。


「いってきます、母さん！」

「いってきまーす」