「携帯鳴ってるぞ」



泣く俺を他所に初斗が俺の携帯を指差す





「もしもし」

「てめぇ、舐めてんのか?」

「いきなり何?」




電話の相手は照葉だった





「凛世が不安がってる」

「え!?」




不安にさせるようなことなんて……




「最近ずっと電話で言ってたんだ。お前の帰りが遅いって」

「それは」




残業だったり

式について考えたり




朝帰りなんてザラにあった





「…………帰ってやれよ」

「今すぐ帰りますよ。それよりシスコン治せよ」

「ばっ……!!俺は別に」





相変わらず照葉は凛世大好きだが昔とは違う



兄として凛世を愛してくれてる









「初斗わりぃ。帰るわ」

「おー。じゃあごちそうさま」

「え…………分かったよ」




俺の奢りで店を出て急いで家に向かう







「ただいま」

「おかえりなさい」





いつもと変わらない笑顔でのお出迎え



不安がってるんだよな…………






「凛世」

「なぁに」

「浮気とかじゃないよ」

「え?」

「仕事で遅いのと…………あと」




隠して事態を悪化させたくないから






「これ、初斗にも協力して貰って計画してたんだ」






式場案内のパンフレット






「ふふっ…………知ってる」

「え」

「圭くん隠し事下手だもん」

「なっ……」

「クローゼットに隠すなんて。洗濯物納めるの私だよ?気付かない訳ないよ」

「けど…………照葉が凛世が不安がってるって」

「あ、兄さんに伝えたのはこれ」





凛世から差し出されたのは




「これ…………」

「ふふっ驚いた?」





母子手帳