「癒衣さんって年上らしくないよね」





ずばーん!!!!



もうここまで来ると後に引けない。誤魔化すことも出来ない。


私はやけになって言った。


「そうよ!年上らしくないわよ?というかそもそもこうやって男の人と今まで電話することもなかったし?何話せばいいのかも分からないわよ!」




………。


…………。


彼からの返答はない。



…やば、もしかして言い過ぎた?

だとしたら後始末が面倒だ。




………。



「……っ!くすくすくす…っ!」

「…⁉︎」

電話の向こうから微かに声が聞こえる。



「っ、あははははははは!!」

「…?」



ふと無邪気な笑い声が聞こえた。

「何言い出すかと思えば癒衣さん面白すぎ!パーフェクト!」

「は、はぁ…?」

「さっきは片言の敬語で、んで次は自分は年上らしくないとか。俺が年下だから自分がリードしなきゃ、とか思ってるんだ?」



彼はどこまで私のことを把握しているのだろう。

顔は向こうは知らないのに日々のメッセージのやりとりだけでこんなにも相手の考えていることが分かるのか…



それ以前に何で私が馬鹿にされなきゃいけないのよ。

ちょっと自分が好青年だからって…嫌な奴。


私は後から、あの時あんなことを言ってしまったことを深く後悔した。




この時、私の中で彼は生意気な年下ボーイとしか思っていなかった。