彼とのやりとりの内容はたわいもない話だけど時間が過ぎるのが本当に早い。

だんだん日が経つごとにお互い敬語もなくなり、更に親しくなった。

あまり自分の家のことは話さないが、意外と話すのが上手で、彼の話を聞くのは楽しい。


時々今流行りのスタンプを使って会話をしたり、写真を送りあったりもした。






ある10月の日のこと。

弟が文化祭の出し物でクラスみんなで企画した、踊ってみたのDVDを家に持って帰ってきた。


ダンスや歌などイベントものが大好きな私はすぐに弟からDVDを奪い再生し、わくわくしながら画面に噛り付いた。


ダンスは高校生ながらとても上手で、芸も面白く思わず拍手したくなるほどだった。


ここで弟が画面に出ている出演している人を一人ずつ指差して教えてくれた。

「あれが俺の中学の時からの友達の大原康太、…で、こっちが俺の後ろの席のやつで三嶋海人、んであっちの背が高いやつが河本聖真、…それから1番真ん中のちょっと小さめの奴が榎本優也、通称ユウ」




…え?


今なんて言ったの?



優也…ゆうや、ユウ…






ユウ⁉︎


私は思わず叫んでしまった。


「なに?姉ちゃんどうかしたの?」

「い、いや何も…はは」






まさか…ね?


疑う考えを必死に頭から離しながら私は平気な顔を装い、またDVDを鑑賞した。


仮にあの小さな、まあ私よりも見た目は少し背はありそうだけどもしあれが”ユウ”だとしたなら…


そうであって欲しいという気持ちと、そうだった時の気持ちが複雑に絡み合った。