田中かんな、人生最大のピンチです。
んーと……こういうときは知らないふりだよね?うん、よし!
「み、見てませんよ。まさか学校のプリンスと呼ばれているあの瀬戸翔馬がかわいい女の子を振ったあげくにそれをバカにしたようにケラケラ笑ってたなんてあたしは全然知りません」
「………最初っから最後までバッチリじゃねーかよ。
ハァー
お前学年とクラスと名前は?」
あたしの口ぃぃい!何言ってんのぉ!
ってかな、何このしゃべり方
こいつ本当に王子か?!
裏表激しすぎるんですけど!
名前なんか絶対言うもんか!
「あー、し、失礼しますねー」
そそくさと立ち去ろうとしたら腕を捕まれてしまった。



