イーサンがはっと目を覚ますと、1番に目に入ったのは高い天井だった。
「いっ…た……」
身を起こすと体のあちこちに痛みが走る。
「あ、起きました?」
イーサンは聞こえてきた男の声に眉を寄せるとそちらを見た。
イーサンが寝ていたのは狭い部屋のベットだった。
金髪に緑の目をした男は扉のない入り口のすぐ近くで腕を組んで立っている。
「俺とレミットおばさんとでここまで運んだんです。
あなた気を失っちゃったんで…」
「それは、すまない。…ナターシャは?」
イーサンはナターシャがいないことに寂しさを覚えてため息をついた。
しかし、そのため息を見て今度は男がため息をついた。
「そこにいますよ。あなたのすぐ隣です。」
「は?」
イーサンはそう言われて初めて、ベットに突っ伏して眠るナターシャに気がついた。
ナターシャの周りには包帯や湿布薬などが散乱している。

