そのとき、ナターシャがふと顔を上げてこちらに気付いた。
ナターシャは一瞬驚いたような表情を浮かべ、そしてもっと不安そうな表情になって走り寄って来た。
不謹慎にも、イーサンにはそれが嬉しかった。
扉が勢いよく開き、足を怪我しているイーサンは自分の体重を支えきれなくなってナターシャに向かって倒れこんだ。
「イーサン!ああ、そんな大怪我してどうしたの!?」
ナターシャは一瞬イーサンを抱きしめたが、支えきれなかったのかその場に座り込む。
イーサンはナターシャを抱きしめてその香りに安堵の息を吐いた。
「ああ、ナターシャだ…久しぶりだな……」
「本当よ。なんで2週間も来てくれなかったの?」
ナターシャの少し怒った声を聞き、イーサンはハハッと笑った。
「ごめん、ごめんな。……会いたかった。」

