ナチが言うには……。 那智サイド〜


『っぶね』

『…ちょっ』

だ、大丈夫か!?、

そんな声が受話器越しに聞こえる。

その場に誰かいることを察した俺は大きな声で叫んだんだ。

「助けてくれ」

その声が聞こえたのか、その場にいた人がユカリのスマホを耳に当てたんだ。

「電話中に倒れたんだ。きっと貧血だから!助けてくれ」

『名前は?』

「延野 天使。延長の延に、野原の野。天使って書いてユカリ!」

『どこの学校?』

慣れたように質問を投げかけてくる男。

悔しいけど、カッコイイくらいだった。

「××高校」

『俺と同じだ。保健室に連れてきます』

対応の速さに感謝する。

『彼氏さん?』

「違う。……友達」

俺は渋々答える。

『そっか、俺は友田隆。一応名乗っとくね』

そう言って俺は一方的に切れた電話。

ツーツー。

切れた電話の音が悲しい。