あれから一週間がたった。

あんな噂は佐々木君が退学してすっかり消えてった。

そして私はあの二人のマスコットキャラクターみたいな存在になってしまった。

相変わらずうるさい本田君と、

あまり喋らない前田君。

いつしか私は、三人でいるのが当たり前になっていた。

だけどそこに決して特別な感情なんてない。

楽しい友達。

ただそれだけ。

「よっ」

後ろから私の肩を叩いてやってきたのは本田君。

「もー、テンション高いなぁー」

その後ろにポケットに手を突っ込んで歩く前田君。

今はお昼休み。

私達は三人だけの秘密の場所がある。

ううん、本当は二人だけのだった。

けど、私も仲間だと言ってくれた本田君は私をその秘密の場所に入れてくれた。

「これお前の」

「えっ、??」

本田君は私にチョコレートがたくさんかかったパンを私に差し出す。

「女子ってこういうの好きだろ」

と…

「え、わ、私に??」

「お前…女子じゃねーの…??」

「なっ!!立派な女子ですぅー」

「あそ。ならもらっとけ」

私はパンをもらってしまった。

まぁいいや、嬉しい。

「ありが…と」

「ん」

私はお弁当を食べる。

ここは誰も通らない教室。

なんでこんな綺麗な教室、誰も使わないのだろう。

この窓から見える季節の木。

桜もすごいし落ち葉もすごいんだ。

今は夏だから緑色の綺麗な葉っぱが靡いている。

「二人はさぁ」

私は二人に言う。

「どうしていつも一緒にいるの??」

入学した時からこの二人は特に目立っていた。

しかも、二人。

前から知り合いだったみたいで…。

「俺達さ、幼なじみなんだよ」

と、前田君はやっと口を開く。

「へー、そうなんだぁ」

幼なじみかぁ。

なんだかいいなぁ。

「そうそう、気づけばいつもコイツが隣にいたんだよなー」

「いたのは基羅だろ??」

「は??お前だろ。俺の真似ばっかりして」

「してないよ、てか見習いたくないし」

「なんだよそれ」

こんな言い合いも仲のいいなら笑って終わるんだろうな。

「お前そういやあのいつも一緒いるやつは??」

「え、奈矢??」

本田君は食べるのをやめてそう言ってきた。

「んー、分かんねーけど。いいの??」

「あ、うん…」

この二人に関わってから、奈矢に関わる時間がなくなった。

だからって別にこの人達のせいじゃないよっ。

「ま、たまには相手する事だな」

と、よく意味が分からなかったけど、そんなことを本田君は言った。