「ちょっごめん。もう一回言って」
「えー仕方ないなぁ」
ゴホンっと口に手を当て、わざとらしく咳払いをする。
そして、さっきと同じように右手を差し出す。
「おれと一緒に、王を殺しに行こう」
「ごめん、もう一回…」
「もー。いいかげん聞こえただろー」
いや、聞こえたことは、聞こえたんだけどさ。
「あんた、本気で言ってんの?」
「超本気」
いやいや。そんな無邪気な笑顔で言われても、信じられないし。
そもそも、こんなやつが王を殺したいなんて思う理由が、思い浮かばない。
「で、もちろん協力してくれるよな?」
「なんで私が」
笑顔からフッと、真剣な表情に変わる。
「リディアも、殺したいだろ?」
青色の瞳が、私の瞳をじっと見つめる。
「バルディアの王族のこと、殺したくて殺したくて、仕方ないんじゃないの?」
「なっ…何を知って」
「知ってるよ、全部。バルディア国王がフラム族にしたこと全部」
真剣な瞳が、私の瞳を捉えて離さない。
バッと立ち上がって、真剣な瞳をしっかりと見つめ返す。
「殺したいよ」
あたりまえじゃん。だって、
「そのために、今まで生きてきたんだから」
