世界はきっと、美しい




「そっそういえばさぁ」

慌てて、彼に話しかける。


「あんた…一体誰なわけ?」



「あれ?言ってなかったっけ?」

「…聞いてない」





彼が、木の下に座り込んでいる私に近づいてきて、目の前に立つ。


「リオ」

澄んだ青色の瞳が、私を見下ろす。

「俺の名前はリオ」






…違う違う

聞きたいのはそれじゃなくて、

「で、誰なの?」

「いや、だからリ…」

「名前なんてどうでもいいから。何者かって聞いてんの」

イラついて、言葉をさえぎって問い詰める。

「いや、だからリ…」

「しつこい」

「おーこわいこわい。そんな顔ばっかしてたら、人生損だぞー」

私の顔を指差して、ハハハッと笑う彼を、冷たい目で見る。

なんかこいつ、めんどくさい。