すぐ近くに、彼の顔がある。
とても…整った顔。
女の子みたいな、きれいな顔。
青色の瞳に、目が引き込まれる。
まるで海のような、深い、深い、青色の瞳。
その輝きは、吸い込まれてしまうのではないかと思うほど、神秘的で
何をするのも忘れて、ただ見入ってしまった。
どのくらい、見つめ合っていたのだろうか。
いきなり、少年が目を細めて微笑んだ。
まるで、愛おしいものを見つめるかのような、優しい笑顔で。
「…きれい」
「えっ?」
言われるはずのない言葉に、思わず聞き返す。
少年が私の髪に触れる。
「髪、きれいだね」
「……は?」
こいつ、頭おかしいの?
殺されるかもしれないって状況で笑って
しかも、こんな髪を…きれいだなんて。
「うわっ」
いきなり、ひっくり返された。
彼の顔が、下ではなく上にある。
ーーやばい。油断した。
立場逆転だ。
少年が、にやっと笑う。
「なぁ、名前は?」
「・・・」
「名前、教えて」
神秘的な青色に見つめられ、思わず答えてしまった。
「リディア」
これが、私たちの出会いだった。
