すぐさま立ち上がり、音のした方を振り返る。
遠くの茂みが、ガサガサと揺れている。
ーー何かがいる。
意識を集中し、姿勢を低くして、身構える。
「あ……」
人間だ。
1人の少年が、茂みから姿を現した。
青色の瞳と、ばっちりと目が合った。
少年がにっこりと笑う。
「おーーーい」
手を振り、こちらへ駆けてくる。
……は?
思わず、後ろを振り返る。
が、やはり誰もいない。
ってことはやっぱり、私に手を振ってるんだよね?
……でも、何で?
再び向き直ると、少年は、すぐそばにまで近づいてきていた。
距離が近づいたことで、少年の姿がはっきりと見えた。
