目の前に広がる、色鮮やかな世界。
これだけ色鮮やかな景色でも、美しいとは、思わない。
私には、全ての色が、くすんで見えてしまう。
…いつからだろう。
全てのものを、美しいと感じなくなってしまったのは。
どんなに綺麗な景色を見ても、
私の瞳は、色あせた世界しか映さない。
ーーゴロン
両手を広げて、草原の上に寝転がる。
満開の桜が、視界いっぱいに広がった。
風が吹き、花びらがひらひらと、自分に向かって降りてくる。
桜の花の間から、水色の空がチラチラとのぞく。
太陽の光が眩しくて、思わず目をとじる。
視界を閉じ、耳をすませば、様々な音が聞こえてくる。
草や木が風に揺れる音。
小鳥たちのさえずり。
遠くの海の、波の音まで聞こえてくる。
自然の優しい音が、耳に心地よい。
ーーガサッ
……ガサッ?