世界はきっと、美しい





およそ10年前、私たちフラム族は滅ぼされた。

…我が国、バルディア王国の手によって。




今の王が即位してから、バルディア王国は、周りの国々に次々と戦争を仕掛けて、領地を広げていった。




そして、他の国との戦争に勝つために、バルディア国王は、フラム族に戦に出るよう求めてきた。



フラム族は、戦闘民族だ。
人間離れした、とてつもない戦闘能力を持っている。



しかし、戦いに長けてはいるが、戦うことが好きだというわけではない。

むしろ、命をとても大切にする部族なのだ。



当時のフラム族の長であった私の母は、王の申し出をもちろん断った。

領地を広げてもっと豊かになりたいという理由だけで人を殺すなど、ありえないことだから。



そして10年前。
申し出を拒否された国王は、フラム族の暮らしているこの島に、軍隊を送り込んできた。

フラム族を戦争の武器とするために。




フラム族は、最強の民族だ。


しかし、それでも、なす術がなかった。

何の準備をする間もなく、いきなり、最新の武器を持った、自分たちの何倍もの数の軍隊が攻めてきたのだから。


フラム族は、最後まで抵抗を続け、降参をしなかった。


フラム族は皆、必死に戦ったが



……ほとんどが殺されてしまった。


生き残った少数の者も、奴隷として連れて行かれてしまった。