雲ひとつない澄み切った青空の下
青々と茂った草原が、太陽の光を浴びて輝く。
どこまでも続く、広大な草原には、
巨大な桜の木が一本、堂々と佇んでいる。
水色、黄緑色、桃色と、鮮やかな世界の中で、
一際目を引き、心を引く色が、そこにはあった。
それはーー
ーーーーー黒。
見ている者の瞳を吸い込んでしまうような、深い、深い、漆黒。
満開の桜の木の下、1人の少女がそこにはいた。
漆黒の瞳に、漆黒の長い髪を持つ少女。
少女の周りを、爽やかな風が吹き抜ける。
一面に広がる若草たちが風になびき、
たくさんの桜の花びらが、風に舞う。
桜がひらひらと舞い散る中、少女の黒髪が風になびく。
風に舞う黒髪が、太陽の光を反射して、キラキラと輝く。
どこか夢のような、美しい世界に
少年は、心を奪われた。
景色全体から、漆黒の少女に目線を移す。
少年は、魅入られたかのように少女を見つめ、つぶやいたーー
「やっと……見つけた」