『新作のプロット。いつも締め切りギリギリのお詫びに、編集長に渡しといてねっ♪』
「えっ……いいんですか!?」
目を見開いてUSBメモリーを見つめていると、強引に手を取られ、私の手の中にUSBメモリーが納められた。
『いいの、いいの♪だから、編集長にこのままにしといてねって言っといてね☆』
「え?」
『茉子ちゃんは知らなくていいのよー、ただ編集長にそれだけ言ってくれたらそれでいいから♪』
「は、はぁ…。わかりました。…ありがとうございます…?」
なんだかよく分からない伝言を頼まれて、先生の新作を私の会社にあげてくれることに感謝すると、どういたしましてと軽快なノリが返ってきた。
『この匂い…肉じゃが?』
「あ、はい!先生、お好きでしたよね?」
『あら、私の好み知ってくれてるなんて嬉しいわー!ま、私は肉じゃがより茉子ちゃんの方が好みだ・け・どっ♪』
先生から私に飛んでくる投げキッス。
こんなブリッコな動作まで様になるのは、この世で先生だけだと思った。

