――「先生、こちらにコーヒー置いておきますね。」

『ん、ありがとー。』


淹れたてのコーヒーを片手に仕事部屋に戻ると、先生が打っているパソコンのタイピング音が響いていた。

どうやら、原稿が上がっていないのは、スランプではなく、ただ単に先生のやる気がなかっただけらしい。


先生のデスクにコーヒーを置いた私は、散らかったままの書類の片付けに取り掛かる。

また、小説の材料集めに没頭していたんだろうなー、と書類の散らかり様から勝手に想像する。


集中している先生の邪魔にならないように、散らかった書類を全て手にした私は、すぐに仕事部屋を後にした。

書類を手にした私は、リビングで書類の仕分けを始める。

こっちはミステリーで、こっちは…恋愛?

へぇー、今度は恋愛小説でも書くのかなーなんて思いながら、私はテキパキと作業を進めていった。


「ふー…っ、終わった。」


数分後、書類の仕分けを終えた私は、背伸びをする。

リビングの壁に掛かっているおしゃれな時計に目を向けると、只今3時40分を指していた。

今日は、すぐ帰れるのかなー…予定があるんだけど。

そこまで思って、首を振る。

先生も今頑張ってるんだから、余計なことは考えない!


先生の身の回りのお世話も任されている私は、溜まりに溜まっているだろう洗濯物を想像して苦笑いを零しつつ、洗濯機がある脱衣所へ向かったのだった。