「えっと、本日は打ち合わせということでご足労いただきまして、ありがとうございます。」
『ううん、いいのよ~!』
……うん、違う。
この方……普通の男の人じゃない。
二コリと笑みを浮かべられても、私は冷や汗をかいて苦笑いしか返せない。
工藤先生って、オネェなんだ。何で進藤さんは教えてくれなかったんだ、と思いつつ、冷静にいつものように接さなきゃと気を引き締めた。
「では早速、打ち合わせを始めさせていただきます。ます最初に目の前の資料を――」
『それより、茉子ちゃん。』
「えっ?」
ここは早く打ち合わせに入ったほうがいいと思って、すぐに本題に入ろうとすると、ニコーっと愛想の良すぎる笑顔でそれを阻止された。
茉子ちゃん…って、私の下の名前…!
会社では一度も呼ばれたことのない名前を呼ばれて、私の心はドキンと高鳴った。

