『え?あー…今日だっけ?締め切り…。』
キッチンに向かっていた先生の足が、私の言葉でピタッと止まった。
それを見て、一つの不安が一気に膨れ上がっていくのを感じる。
「も、もしかして先生…っ」
『うん、まだっ☆』
「なっ……!?」
嫌な不安が確信に変わった瞬間、私はその場でフリーズした。
目の前がクラッと来そうなのを、辛うじて抑えて、キラキラスマイルを向けたままの先生に視線を動かした。
「私なんかを待つより、原稿を上げてくださいっっ!」
『え、でもコーヒー…。』
ドスドスと大股で先生の下に近寄り、私よりも太い手首をガシリと掴んで、仕事部屋に先生を連行。
「コーヒーは私が淹れますから、先生は原稿に集中してくださいっ!」
『そんなに怒ると、お肌が荒れるわよ?』
「私を怒らせてるのは先生です!」
ポーンと先生を仕事部屋に放り投げた私は、先生に対するイライラを隠すこともせずに、コーヒーを淹れるためにキッチンへと向かった。

