『……茉子?』

「っ、それなのに…っ」


それなのに、嫌いになれないの。

先生のこと、嫌いじゃないの。


「先生なんて、先生なんて…っ、」


涙で視界がぼやける中で、私は先生の胸に力なく手でパシパシと叩く。


「私のそばにいてくれないと、ダメですから…!」

『!』


原稿を上げて疲れてるはずなのに、私のことを気遣う先生も、

お土産を持ってきた私に、必ずお礼のコーヒーを淹れてくれる先生も、

洗濯物を洗濯しやすいように、洗い方の違う種類ごとに仕分けしておく先生も、

私が人参とピーマンを入れていると分かっていて、冷蔵庫に材料を入れておく先生も、


「好きです…ッ」


どうしようもなく、私を夢中にさせるのだから。