「先生…これは何ですか?」

『テヘッ』


頬が引き攣った恐怖の笑顔で先生を見ると、私よりも可愛いテヘッが返ってきた。

テヘッじゃないよ、テヘッじゃ…。

口調とか、仕草とか、私より先生のほうが絶対女子力高いんだよね…。


顔もキレイだし、オネェコンテストに出場したら、絶対優勝取れると、私は勝手に確信しているほど。

でも、オネェな先生だけど、女装してるのを見たことはない。

外見は普通の――というか、イケメン。でも中身は女の人。

初めて先生と言葉を交わした時、とてもとてもビックリしたけれど、担当して半年も経てば、慣れてしまった。


「もー。片付けるの大変なんですからね?」

『ゴメンゴメン。今コーヒー淹れるから許してっ』


おまけに先生はマイペース。

この状況で呑気にコーヒーなんて。


「先生、それより原稿は?もう出来上がってるんですよね?」


ようやく、私がココに来た目的である原稿について話を向ける。

今日は、先生の原稿の締め切り日なのだ。