『普段から、冗談なんて言ってないけど。』

「なっ……」

『いつも、鈍感な茉子でも分かるようにアピールしてたのに、それにも気付かなかった茉子が悪い。』


言われてみれば、思い当たる節が数多くある。

先生と会うと必ず可愛いと言われ、好きだと言われ、――そういえば昨日も。


"『茉子ちゃん、私の旦那にならない?』"


「っっ…!!」

『やーっと理解してくれた?』


全てを理解して、私は顔を赤く染めるしかなかった。

確かに、先生はいつも大胆で分かりやすい言葉で私に微笑みかけていた。

でも私は、それらをまともに受け取ろうともせずに、勝手に冗談だと思い込み、何でもない顔で笑い飛ばしていた。


「だっ…て、だって、先生はオネェだっ…て、」


先生の大胆不敵なアピールを全く気付けなかったのは、先生が同性愛者だと思っていたからで。

先生の好きは、友達同士のような好きだと勘違いしてた。

いくら何でも、鈍感と20年以上言われ続けた私でも、あんな大胆な愛の告白に気付かないわけない。