『……鈍いな、本当に。』

「え…っ?わっ」


数あるこれまでの失態の中から、どれを最初に言おうかと考えあぐねていると、ボソッと何かをつぶやいた先生に抱え上げられた。

スタスタスタ、と私を俵のように担いだ先生は驚く私を無視してとある部屋の扉を開けた。


「先生ッ、ちょっと待――ッ!?」


降ろされた私の身体を受け止めているのは、質の良いシーツ。

見慣れない部屋。

ここ――…先生の寝室、と理解するころには、先生が私の上に馬乗りになっていた。


「何するんですかッ、先生!?」

『んー…何を言っても分からないみたいだから、身体に教えてあげようと思って。』

「っ…!?」


何を?なんて、聞かなくても分かってしまう自分が恨めしい。

こんなことを雰囲気で察してしまうのなら、大人になんてなりたくないと思ってしまう。


「離してくださいッ、冗談やめ――」

『冗談?』


抵抗して先生の身体を押す私の手首を、痛いほどの強い力で掴まれて、ベッドに押し付けられた。

私を捕らえる熱を孕んだブラウンの瞳は、まさに獲物を見つけた男――っていうか、オス。

今まで男を感じなかっただけに、私の心臓はドクンッドクンッと大きく拍動してしまう。