『そんな男とやっと別れたって聞いて、この手で落とそうとしてたのに――何をどう勘違いしてくれてんの?』
「っっ」
先生の言葉は、混乱した私をさらに混乱の渦に投げ込む。
勘違いって――まさか。
「圭司の彼女って、先生じゃ――ない…?」
『ぁあ、そうだけど?』
「っっ」
恐る恐る紡いだ疑問は、あっさりと先生の肯定の言葉で潰された。
う、ウソでしょ…?
だって、先生はオネェで。
圭司が結婚を考えてもおかしくないような相手で。
でも、それは私の勝手の勘違いって――
かかーっと私の顔は赤に染まる。
とんでもない失態だ。恥ずかしすぎる。
大の大人が、自分の感情を抑えることもできずに、息を吐くかのように醜い感情を曝した結果がこれだなんて。
「すっ、すすすいませんでしたぁ…っ」
真っ赤な顔をこれ以上曝せないと両手で顔を隠して、謝るしかなかった。

