【短】溺愛ショコラ





『そんな男とやっと別れたって聞いて、この手で落とそうとしてたのに――何をどう勘違いしてくれてんの?』

「っっ」


先生の言葉は、混乱した私をさらに混乱の渦に投げ込む。

勘違いって――まさか。


「圭司の彼女って、先生じゃ――ない…?」

『ぁあ、そうだけど?』

「っっ」


恐る恐る紡いだ疑問は、あっさりと先生の肯定の言葉で潰された。

う、ウソでしょ…?

だって、先生はオネェで。

圭司が結婚を考えてもおかしくないような相手で。

でも、それは私の勝手の勘違いって――


かかーっと私の顔は赤に染まる。

とんでもない失態だ。恥ずかしすぎる。

大の大人が、自分の感情を抑えることもできずに、息を吐くかのように醜い感情を曝した結果がこれだなんて。


「すっ、すすすいませんでしたぁ…っ」


真っ赤な顔をこれ以上曝せないと両手で顔を隠して、謝るしかなかった。