海の花公園 -2人の場所-




愛side



2日間学校を休んで
やっと熱が微熱程度に下がった。


まだ少し頭が重かったけど
何とか6時間目まで受けて
帰りの準備をしている途中。


それはそれでいいけど、
さっき急に思ったことがある。


昨日とおとといと
南くんがお見舞いに来てくれた。


そこまではいいとして、
昨日はともかく
おとといの記憶があんまりない...。


熱で浮かされてて
よく覚えてないのかも。


そしたら心配なことといえば
ひとつしかない。


前、麻里に聞いたことがあった。

『愛、あんまり高熱だと
甘えん坊だし、結構普段言わない
色んなこと言ってくれるよねっ』


私自身、よく分かっていないんだけど
もしそうなら...。


ー絶対何か言ったよね...。


何だか恥ずかしいし、
どこからか湧いてくる罪悪感。


「うぅ...」


ぽすっと机の上のバックに
顔を伏せた。


「あれ、帰らないの?」


すぐ後ろから声がする。

一瞬心臓が飛び跳ねたけど、
平静を装って少し顔をあげてみた。


「大丈夫?具合悪い?」


南くんが前にしゃがんで
私の顔を覗き込む。


改めて顔を見ると
恥ずかしくて顔が熱い。


「あ!いや!全然!
大丈夫だよ。」


「本当に?ならいいけど。」


そう言いながらすぐに立ち上がって
前の席の椅子に座った。


教室には、委員会とか課外とか
部活とかでどんどん帰ってしまったから、
ほとんど2人っきりの状態。


ーもういいや、今聞いちゃおう...


「...ねぇ、おとといのことなんだけど...」


「ん?」


「私、何か...変なことしたり
言ったりしなかった...?」


そう小さな声で聞いたら、
いきなり南くんがくすっと笑った。


「え?え?」


「いや余りにも真剣だなぁって。
特にいつもどおりだったけど。
何、変なことって?」


いたずらっぽく聞き返してくる。

そんな表情もかっこよくて
いちいちキュンとしてしまうのが
私ながら不謹慎だけど...。


「ち、ちがう!
いつもと変わりなかったか
聞きたかっただけ!
それならそれでいいの。」


「あはは、まぁいろいろと。
ご馳走様でした。

さ、帰ろっか。」


ケラケラ笑いながら
カバンを持って立ち上がる。


「うん、って え?」


な、なにご馳走様って!


「置いてくぞ〜」




もう教室から出ていってしまった
南くんを早足で追いかける。


「あれ...?」


教室をでて先の廊下を見ると
姿がなかった。


「速いよ〜...

っ!」


その途端腕を引っ張られ
誰かに受け止められる。


香った匂いで
誰かももう分かっているんだけど。


「もう、南く...」


顔をあげた瞬間
おでこに柔らかい感触が伝わった。

ふわふわしてくるけど、
今はそれどころじゃない!


「こ、ここ学校だから!
誰かに見られるよ!」


当の本人は満足げな笑顔で
「ここ死角だから」と言う。


ーうっ


確かに大きな柱の角で
誰かに見られるような場所じゃない。



「...南くん優しいけど 何かいじわる」


「あはは、なんだそれ。
ごめんね?」


「...私嫌じゃないからいいよ」


「そうなの?」


またクスクス笑い出す南くんを見て
はっとする。



ー...これは私ドMみたいじゃない?


「...あっ、いや、何でもない!
えっと、早く帰ろ!」


「はいはい」


ーまだ笑ってるよ〜...


何で南くんの前でばっかり
恥ずかしい事しちゃうんだろう。


またひとつ悩みの種ができた。