海の花公園 -2人の場所-

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昨日 (火) 19:30



ーピンポーン




誰だろう。


まぁ予想はついているけど...



玄関をあけると思ったとおりの人が
にこにこして立っていた。


「隼人、ご飯 持ってきたわよ~
あら、もしかしてもう食べた?」


「いやまだだけど、兄さんは?
もう帰ってきてるんだろ?」


両手で持ってるバケットを
俺に預けて、家に上がった。


「あの人ね~
今日は21:00まで仕事なの
でも明日はおやすみよ♪」


「なるほどね。」


「そうそう!
あっ、ノア~!」


ニャーンと鳴き声が聞こえる。



「あ~やっぱり可愛いわね~
私も猫欲しい~」


「バニラがいるでしょ。
あ、そっか、犬か。」


ノア と呼ぶと
すぐに俺に駆け寄ってきた。

しゃがんで頭を撫でてやる。


「あ~あ、やっぱ1番は隼人かぁ。
それはそうよね~。
私は結婚してたし、
お母さん達は今ほとんど留守だし。」


そう言ってキッチンに向かい、
バケットの中身を出し始めた。


「で、隼人...」


「ん?」


テーブルの上においてた
飲みかけのお茶を
手にとって口にふくむ。




「どう愛ちゃんとは?」


ーゴクッ


「っ! 」


いきなりの話題で
むせてしまった。


にや~っと笑ってこっちを見てる。


ー全くこの人は...



中本 江梨子 (旧姓 南)


この9歳上の姉さんは、
高校卒業後の就職先で
知り合った先輩と20歳で社内婚。


家から割と近いこの町の住宅街に
すぐに一軒家を持って、
今は専業主婦をしている。


つまりは、
日比野さんと5年ほど前から
姉さんいわく妹同然で、
仲良くしている、らしい。


俺も知ったのは5月の終わりごろだけど。


よく考えたら結構、
いや、かなり前から
俺と同い年の女の子と仲良くなったと
度々言っていたんだ。


去年入学する頃には
その子も俺と同じ高校だとか、
言ってた気がする。


日比野さんと話すようになってから
いつものテンションで姉さんに
「そう言えば、昨日愛ちゃんとねー」
と話された時には、
同じ名前の子なんだなと
思ってたけど、聞いてるうちに
日比野さんの事であると知って
すごく驚いたものだ。


「え?何で姉さん
日比野さんのこと知ってるの?」 と。


前から名前も出してたらしかったけど、
話を聞け とお然りをくらうほど
まともに聞いてなかったから
全然気付かなかったんだな。


そこから日比野さんの話題が増えて
見透かされたと言う事。


「どうって言われても…」


「あれ、付き合ってるん
じゃないの~?」


ー…ん?
え、なんで知ってるんだ?


「…何で?」


「だって昨日18:30ごろ
買い物帰りで見たもの、
隼人が愛ちゃんを送ってるところ☆
青春しちゃって~!」


「……」


絶句。

まぁ、いつも送っていたけど
姉さんのたまたまの
タイミングが良すぎる。


いつもこうなんだ。
感がいいし、するどいし。


ーまぁあれだけ近いからな。


思わず苦笑する。


「あっ、やだ当たりね!
おめでとう!
そんな隼人にプレゼント~!」


そう言って
封筒を差し出される。


「開けて!」


開けると
いま人気の水族館の
チケットが2枚入っていた。


姉さんの表情から
何となく予想はつく。


「一応聞くけど、これは?」


「水族館のタダ券!
今日買ってきちゃったの
太一さん(旦那)と話し合って」


「話し合う?」


「そうよ~
昨日の夜話したの。
2人いい感じかもっていったら、
『そうか~!それじゃあ
何かプレゼントしようか~』
って!
喜んでたわよ♪」


「ん?まって、兄さんも
知ってたの?」


「知ってたっていうか、その前から
隼人と愛ちゃんお似合いだと
思うんだけどなぁ
ってずっと言ってたわよ。
まぁ私も思ってたけど!
あの人 何かふわふわしてるから☆」


またそこがいいのよね~と
うっとりして言った。

温和な兄さんと姉さんは
すごく仲がいい。


けど、まさかの
兄さんまで加わってたとは…


「だからねっ!行ってきて!
お金はいらないから!
愛ちゃんも水族館好きよ!」



せっかく買ってきてくれたし、
実はどこか誘おうかなと
考えてたから
こう言っては何だけど、
ちょうど良かった。



「じゃあ言ってみる。
ありがとう。
ていうか何で知ってるの?」


「だって2年くらい前に別のだけど、
水族館に2人で行ったことあるもの」


だから水族館なのか。

それなら、
失敗はないかな…。


「あはは、なるほどね、
俺も負けてられないなぁ、なんて。」


「ふふふ、
私には敵わないわよ?」


「はいはい。
そう言ってられるのも
今のうちだよ姉さん。」


「うふふ、楽しんできてね♪」


「ありがとう。」



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