愛side
日も落ち始めた夕方。
私はすごく悩んでいた。
さっきはどうにかなると思ってたけど、
改めて会うとと言えない...。
それに昨日
付き合い始めたばかりなのに
そんな話題だせないよ~。
顔が熱い...。
それにすごく見られてるんだもん。
「あ、あの、南くん...?」
「ん?」
「...ちょっと見すぎかなって」
「そう?」
あまりにも
その表情が穏やか過ぎて
胸がきゅーっとなるけど、
は、恥ずかしい...!
「...私何だか緊張してるから
そんなに見られたら、ね?」
「緊張してるの?」
ちょっと悪戯っぽく
南くんが笑った。
ーぎゅっ
反射的に胸を抑える。
「いや、えっとね...」
どうしよう。
前より、昨日より
もっと気持ちが大きくなってる。
「昨日から、ずっと
ドキドキしてて...
と、とにかく緊張してるの!」
「...」
ーあれ?反応は...
と思ったとき、
クスッと笑う声がした。
「...かなわないな、日比野さんには」
「え?」
「はは、ごめん、こっちの話。」
ぽんぽんと頭を撫でられる。
何だかふわふわして 南くんに
見入ってしまいそうになった時
ハッとした。
ー今なら流れで
話せるかもしれない...!
「南くんあのねっ!」
「んー?」
「えっ...と...」
「?」
駄目だ、やっぱり言えない...
あと4日しかないのにー...
はっきりいって
千晶が帰ってくるのは
少し怖いから言いたい。
でもたった1週間だから
大丈夫な気もする。
いや、でもまた待ち伏せとかだったら
ちょっとなぁ...
でも結構何ヶ月か空いてるし
もう気が変わってるはず!
連絡先も今年携帯変えたから
知らないし!
よし、これで大丈夫!
「日比野さん?どうした?」
「あ、全然!何もないよ!」
「本当に?」
「う、うん!」
私がそういうと
何か考えてたのか、
しばらく黙ったあとに
口を開いた。
「そう...
何かあったらいつでも言ってね。」
「うん、わかった。」
「あ、そうそう。
はい、これ。」
渡されたのは
月のストラップ。
その透明な月の中では
所々にキラキラとした石が
ふわふわと水に浮いている。
「うわぁ、きれい...」
「昨日言ってたお土産。
ちょっと立ち寄った
雑貨屋さんで見つけたんだ。
だから旅行先とは何の関係もないけど」
すると ちょっと失礼 と言って
私の手の上にある
ストラップを握った。
「?」
「もういいかな。
...あ、ほら。」
見ると、
さっきまで透明がかった黄色が
下の方から水色に変わっていて、
綺麗なグラデーションになっていた。
「えっ、すごい...!」
「温度の関係で
黄色から水色になるんだって。
なんか面白いなって思ってさ。」
「これもらっていいの?」
「そのために買ってきたんだし、
せっかくだから貰ってください。」
「...嬉しい、ありがとう。
大切にするね!」
「あはは、それは良かった。」
こうやって横に座ってるだけで
何だか心が温かくなる。
今まで麻里とか江梨子さんとか
おばあちゃん達とか
いろいろな人に助けてもらってたけど、
南くんといて改めて
1人じゃないんだなって感じた。
さっきあの事について
自分で結論は出したけど
正直いうと、
ちょっと不安はある。
でも隣にいてくれるだけで、
十分心強い。
ー大丈夫。
私は手の中にある宝物を
そっと握った。
