愛side
ーピンポーン
「はーい!」
モニター付きの
インターホンで確認したあと
足早に玄関に向かう。
ドアを開けると、
りんご飴を持った麻里がいた。
「おっはよ~、愛!」
「おはよう、わざわざありがとう」
「いいのいいの!
ついでにお喋り出来るしっ!
あとねぇ~...」
「?」
「じゃーん!」
にこっと笑った麻里が
私の見えないところから
誰かの腕を引っ張った。
「ちょ、いきなり引っ張んなっ」
その声の主は私を見ると、
いつもの小さな笑顔で口を開く。
「よう、日比野。
久しぶり。」
「あ、佐伯くん...!
お久しぶり、帰ってきてたんだね。」
「そうそう、 一昨日からな。
麻里が帰ってこいって
言うもんだから。」
呆れたように言った
佐伯くんに対してすかさず
麻里がツッコミを入れる。
「あ!そこは悠ちゃんから
帰ってくるって言ったでしょ?!
本当はわたしに会いたかったくせに~」
にやにやと自慢げに言う麻里。
2人は中学の時からこんな感じ。
でもそんなやりとりを見るのが
好きだった。
思わず笑ってしまう。
遠距離だと心配していたけど、
相変わらず仲が良さそうで一安心だな。
なんだか心がポカポカしてくる。
「よし、じゃあ上がって?
佐伯くんもどうぞ。」
「いきなり来て悪いな。
ありがと、お邪魔します。」
「わ~い、愛の家久しぶりだ~!
お邪魔しまーす!」