隼人side
どうしようもない
気持ちにかられて
泣きながら話をしてる
日比野さんを思わず抱きしめた。
もう、こんな風に泣いて欲しくはない。
1人で抱え込まないで欲しい。
こんな時に告白してしまうのは
よくなかったかもしれないけど、
考えるより言葉が先に出ていた。
まぁ、出てしまったものは仕方ない。
そのままなかなか泣き止まない
彼女をなだめていると、
いきなり名前を呼ばれた。
「...南くん、」
「?」
「私、南くんが好きですっ...」
不意打ち。
確実に体の熱が上がったのが分かる。
彼女はというと
俯いたままぎゅっと
俺の服を掴んでいた。
静かに回していた腕を下ろす。
「日比野さん、顔上げて。」
「...え?!、む、無理 っ!」
手で顔を隠して
いやいやと首をふる。
...仕方ない。
「...あ」
俺はそれだけ言って黙った。
「え、...なに?」
しばらくして
ようやく上がった日比野さんの顔を
そっと両手で捕まえる。
「?!」
「ふぅ、やっと上げてくれたね」
「...え?!ち、ちょっと!」
日比野さんが
ぼっ と音がするように
顔を赤くした。
その後俺の手を掴んで
一生懸命下ろそうとする。
けど無理だったのか、
そのままの状態で小さくつぶやいた。
「…はずかしい...。」
そうちらっと涙目で訴えてくる
彼女が愛おしく感じた。
ー守っていきたい。
少し深めに息を吸ってから
言葉にする。
「...俺と付き合ってくれますか?」
すると日比野さんの頬を
一筋の涙が滑り落ちた。
「...うんっ
もちろん…」
そう言った彼女の精一杯の笑顔が
俺の胸を締め付ける。
こんな気持ち初めてだった。
「...どうしたの?」
「…」
「え?南…くん?」
「...ごめん、許して」
そうひとこと言って
そのまま彼女に口づける。
軽く触れるだけの短いもの。
名残惜しい気もしたけど、
すぐにそっと唇を離した。
目の先には、
今起こったことが
分からないというように
俺を見ている日比野さん。
「いきなりごめん 、
...いやだった?」
「え?!そんなわけっ...」
ようやく整理がついたのか
顔がまた赤い。
「…ない、でしょ...
むしろね、あの、
嬉しかった...」
嬉しかった
その言葉を聞いて動揺する。
ーやばい...
思わず顔をそらすと、
遠慮がちに
くいくいっと服を引っ張られた。
「南くん...」
何か言いたそうだけれど
なかなか言葉に出ないのか
ずっと恥ずかしそうに口ごもっている。
「えっと、あのね…?」
「…ん?」
「えっと、や、やっぱり何でもないっ!」
そう言って、
俺の胸に顔を埋めた。
ーそういうの反則だろ…
少し戸惑っていると、
くすっと日比野さんが笑った。
「え?どうした?」
「私ばっかりドキドキしてるのかな
って思ってたけど、
南くんもドキドキしてるなぁって。
それで嬉しくなっただけ。」
えへへと照れたように言う。
「...っ」
実際 余裕なんかない。
気づけば俺は
すっと彼女の頬に手を添えていた。
「...いい?」
小さく聞こえた返事を合図に
ゆっくりと唇を重ねる。
気づけば
花火の音なんか
聞こえていなかった。
ただ黒のキャンパスには
満開の花が咲き乱れている。
思いが通じた
花散る夜のこと…
