決めてからの春の行動は早かった。園田のマネをして透夜のケイタイ番号を調べ、それから透夜のケイタイに電話をかけた。
コール音2回で、はい?と若干不機嫌そうな声が春の耳に届いた。ベッドに座っていた体が、少しだけシャンとした。

「坂井くん?山口です」
『……は?なんで?』
「連絡網に載ってたからっ」
『………はぁ、そんなのもあったね』





透夜は後ろ頭に左手を添えて、なに?とケイタイに向かって呟いた。

『あのね、遊園地行こ!』
「……めちゃくちゃ唐突だね…」
『行こーよ遊園地っ!花粉症も収まってるしさぁ』

(「この人狙って言ってんのかな?」)

顔が火照るのを感じた。
なんだよもう、と舌打ちしたくなる。

「………いいよ、行くよ」
『ホントに!』

園田に言われたときとは全く別の感情が、透夜に「行くよ」と言わせたようだった。電話口で春がはしゃぐのを聞いて、透夜は笑った。

が。

次の瞬間、固まった。




『亜依ちゃんに頼まれてねっ』