階段を降りて、下駄箱でローファーに履き替える。今にもスキップをし出しそうな春に、小走りで側を行く夏香。

2人のお気に入りは、本校舎と旧校舎、特別棟にコの字型に囲まれた中庭、にある花壇、の前にあるベンチ。
春の日差しが暖かな、そよ風が爽やかな…
透夜なら間違っても近づかない場所である。

頑張って場所をとらないと、3つしかないベンチはあっという間にカップルのものになってしまう。



「やったあっ1番乗りっ!!」

小さくジャンプしながら、春はそれに駆け寄った。1番日の当たっているベンチに座る。

「夏香あー!早く早くっ」
「はいはい」

春に振り回され気味の夏香、それでも春の楽しそうな姿を見ていたら何となく楽しくなって、その隣に腰かけた。