そう反論しながらも、店長の言葉が耳に残る。
……「俺だけが頼り」?
俺はこの言葉に弱い。
店長に「空手でもボクシングでも習え」なんて言いながらも、心なしか天秤がそっちに傾いてきた。
あー…
あーあー…………
「サト、先帰ってて」
「ちとせー!さすが!!男と認めるわ!」
や、別に認めてもらわずとも男ですが。
サトに買い物袋を渡す。
最近平和で鈍ってるからなー、どうだろ。
「マジ?………ってお前の荷物軽っ!」
あ、バレたか。
サトの袋に大量に重いもの詰め込んだからな!!
俺のは見かけ倒し。
「葵、この兄ちゃんと帰れるよな?」
「………うん?」
「俺、ちょっと用ができちゃって」
「…?」
ああ、アイスが溶ける。
「ちとせ、早く」
「へいへい。じゃ、サト頼んだ」
「わかりましたよハイハイ」
しぶしぶ頷いた親友に笑いかけて、店長の後を追った。

