「おーちとせ」
「店長」

あー、なんか久々に顔見た。

「友達?珍しいな、こんにちは」
「あ、こんちはー」

もうかなり「こんばんは」の時間だと思うんだけど。

店長は葵を見て、いくらか驚いたようだった。

「結局まだ一緒にいたのか?」
「ん。まーな」
「そーかそーか」

なにがそーかなのか全く理解できない。
何が言いたいバカ店長?

「ちとせ、アイス溶ける」

サトが急かす声にハッとした。

「やべえ、そうだった!じゃな」


アイスのこともあったけど、なんとなく嫌な予感がしたから、一刻も早く立ち去ろうと思った。
…なのに。



「ちょっと待ってくれちとせ!」

店長に後ろ襟をつかまれ、前につんのめって転びそうになった。

「…何」
「ちょっと店の奥に――~」
「やだよ!!」
「頼むよ―――!!この通り!」
「やだって!俺今日制服のままなんだぞ!いろいろ面倒になったら最低だし!」

しかもアイスの生存危機だ!天秤にかける必要もなく、アイスの勝ち!
事情のわからないサトは、なんだなんだ、って顔をする。

俺は店長に泣きつかれる。

「ちとせだけが頼りなんだって!」
「空手でもボクシングでも習え!」