「あー…」

なるほど、とサトは頷いて、葵を見た。

「だって、そうじゃね?」
「お前にしてはうん、頭使ったな」

お前にしては、というのが気に障ったのだけれど、まぁそれはひとまず置いといておく。

「じゃあー…」

立ち上がって自分の部屋に行く。
チェストの中をガサガサやると、固い感触が。

「あったあった」

言いながら戻ると、サトが変なやつって目で俺を見た。
葵は葵で、きょとん、って顔だし。

「持っといて」
「鍵…合鍵?」
「ん。まー自由に出入りしてよ」
「あ~…無くしたらゴメン」
「無くすな」

2人でケラケラ笑うと、空気が少しだけ和らいだ。
それを感じ取ったのか、葵も笑った。
俺はそれを見て、嬉しかった。