俺自身の過去を話すより難しかった。
さっちゃんに話したときより長くて、たっぷり20分かかった。
まぁ、あのときより葵と一緒にいた時間が長いのだから、それも当たり前だ。




「…と、まぁ。そんなわけで」
「…お人好しだな…とことん」

サトは口を挟まずに最後まで、まとまりのなくてわかりにくい俺の話を辛抱強く聞いてくれた。

ダルく首を振りながら初めて発したのが「お人好しだな」の一言。

「だってね、キミ。優しい俺が見捨てられたと思う?無理だっての」
「優しいて…お前がゆーと変態クサイ…」
「はぁ!?」

現に一回襲ったんだろーが、と言ってから、すっかり冷めたブルーマウンテンを飲み干す。

「………う…それは…仕方なかった…とゆーか…」

しどろもどろのセリフを遮るようにサトがため息混じりの声を出す。


「なんでも良いけど、」