「35階…最上階………」
「何がそんなに驚き…?」


ある程度前からここに住んでいる俺にとっては、なんの驚きも違和感もない。
だけど普通に考えたら、一人暮らしの高校生がこんな所に住んでいるのはおかしい以外の何物でもないのだ。


俺は部屋の鍵を開けた。
そしてサトの方に向き直る。

「何だよ」
「今から入るけど…叫ぶなよ何見ても」

静かに圧し殺した声で言うと、サトは身を引いた。

「な、何見ても、て…大袈裟じゃね?」
「いいから。守ってくれ」
「わかった」

こくりと頷いたのを確かめて、ドアノブを回した。


かちゃ、と小さな音が廊下に響いた。