「どう思う?」
「え、いや…何を?」

さっちゃんはあんた正真正銘のバカねって俺を見た。

「ちとせは今話したことから、何を思う?」
「俺は………よくわかんねーよ。わかるんならそもそも片道620円もかけてわざわざ来ないしさあ!」

ついでに葵背負って全力疾走もしねぇー。



「あんた正真正銘のバカね」



声に出して言われると、案外刺さる。

「いい?身体中についてたって言う傷。誰がつけたと思う?」
「傷………?こ…転んだ、とか?」
「転んだ傷が、服の中だけにつくとでも?」
「つかないよ、スミマセンね」

いちいちバカにしなきゃ気がすまねーのかな?

「じゃあ誰が…」

俺の疑問の声は、さっちゃんの鋭い声で書き消された。

「あの子、虐待されてるわよ」



………え?

思考回路がいったん止まった。

ぎゃ…くたい。

「虐待!?」
「声が大きい」
「だっ…え!?」

虐待って…
虐待、だよな?