「せ、せー…ふ」

ぜーぜー息を切らしながらも、児童相談所に駆け込んだ。
程よい冷房。
気持ちいい。

汗が冷やされるのを感じた。


受付のおばさんが俺を見、葵を見た。

「こんにちは」


笑顔。
親切がにじみ出ている。


「こんちは…葵、もう降りていいよー…」


返事を返して、それから清潔そうな白いタイル張りの床にしゃがんで、葵を立たせる。
彼女は立った後、きゅ、と俺の服の裾を掴んだ。


「ええと…2時にこちらの吉田皐月さんと約束があるはずなんですが」

すぐに了解したみたいだった。