「箱入り娘」って言葉がある。


彼女が入れられていたのはあたたかな箱ではなく、暗くて狭い冷たい箱だった。


俺はそれを目の当たりにしたから、その箱のひどさがよくわかった。


だけど、これからは違う。


大事に大事に、閉じ込めるくらいに大事にするんじゃなくて、ちゃんとお互いに成長したり、支え合ったりできる、そういう関係でありたいから、箱なんてもう必要ないんだ。





むやみやたらな束縛よりも、

お互いがお互いを大事だと感じられたり、

必要だと感じられたりできる、

そういう俺たちでありたいから。








一生大事にします。

一生かけて守ります。

だけど、逆に、俺が腐ってるときは、お前が俺に教えてくれよ。


知ってのとおり俺はバカなガキだから、まわりにたくさん頼るから、でも頼ることの大切さを知ったから、恥ずかしがらずに時には縋るよ。






さあ、俺たちの家に帰ろう。

母さんと、サトと、美佐と、さっちゃんと、花田レイコと。

みんなが待ってる。



大切な人が迎えてくれる、俺たちの居場所に、帰ろうか。









end.