『ねえってば!ちょっとちとせ!?』

美佐はあからさまに不機嫌な声。

「はいはい」

葵を左腕で羽交い締めにしながら、部屋に連れ戻した。
ずるずると引きずりながら、それにしても細いなあと考えていた。



「ちとせくん」
「んあ?」

安全だと思えるソファーのところまで移動させられた葵は、唐突に俺の名前を呼んだ。
俺はと言うと、、へんな声が出てしまった。

まずい、と思って自分の口に手をあてたけれどもう遅い。
奇妙な俺の声を聞きつけて低くなる美佐の声。

『………誰かそこにいるの?』
「いない。テレビの音じゃん?」

とっさに嘘をついた。

『嘘だ。女でしょ!!なんで!?美佐は部屋に絶対入れてくれないじゃん!!』


あああ、めんどくせえな、もう!