男としても年上としても面目丸つぶれの俺は目を見開いて、シパシパと2回瞬きをした。
え、何?
え、何?
唇奪われちゃったったやつですか?
「──あ」
「なっなんだよ!」
「あの女の子の気持ちが、いま、やっとわかった気がする」
葵はそっか、こういう気持ちになるんだね、と、照れたように笑った。
照れるのはこっちだっての。
「でもいとこって結婚できるのかなあ」
「けっ!?」
なにこの子!
急に!
っていうか、プロポーズまで先を越されたんでしょうか、俺は。
やられっぱなしじゃ気に入らないから、葵の肩に手を置いた。
「ばーか、いとこは結婚できるんだっつーの」
そういって、キスをしようと顔を近づけた。
「ちとせー、取り込み中悪いけどー」
さっちゃんの声がすぐそばで聴こえて、俺は葵の肩を押して慌てて離れた。
「ちょ、いつからいたんだよ!」
「まあまあ。車、来ちゃったから。出発よ、真央ちゃん」
「あ、えっと、うん」
葵は赤くなった顔を手であおぎながら、俺の方をちらちらと見た。