「じゃあさ、」
「ん?」
「いや……」
じゃあさ、俺が好きだって言ったところでそれは「ラブ」の意味であるってことがわかるのか?
いやあ、わかんねーだろ。
「……葵、好きだよ」
とか言ってみたりして。
「うん、私も好きだよ?」
葵があっけらかんとして言うもんだから、
うん、やっぱりね……なんとなくわかってた。
「いや、俺のスキって言うのは、なんていうかさ」
俺が手を無駄に動かして微妙なニュアンスを伝えようとしていたら、葵がつい、と俺の服を引っ張った。
「え?どうし…」
次の瞬間、葵の睫毛がすごく近くに見えた。
唇にはやわらかい感触。
あれ、キスされてる?
って、えええ!?
「また会えるって、私に誓ってくれたんでしょう?だから、誓いのキス」
ドラマでやってたの、と葵はこともなげに笑って見せた。