「ただいまー」
「行ってきたぞー」
玄関から葵とサトの声がした。
さっちゃんがほら、帰って来たわよ、と、俺の背中を押した。
「外あっちーよ、ハンパねえ」
玄関にはサトと葵が顔を上気させて立っていた。
俺は買い物袋を受け取りながら「おかえり」と言った。
「暑かったよー」
「お疲れお疲れー。買ってきた?」
サトが廊下を歩きながら返事をする。
「おー。冷やし中華の材料な……って、なんだよこれ、穴!あいてんじゃん」
ドアに空いた大穴を見つけて驚いた声を出した。
「ほんとだ、ちとせくん直さなくっちゃ」
「あー今度な。手洗ってこい、2人とも」
さっちゃんがリビングから顔を出して、2人に手を振った。
「お帰りなさーい2人ともー」
「あれ、吉田さん居たんすか」
「さっちゃん!」
サトも葵も俺の言葉を聞かないで、リビングに行ってしまった。
俺はその様子になんだかおかしくなって笑ってから、台所に行った。

