そのあと、俺は即座に警察に通報した。

葵の父親は依然として気絶したままだったけれど、目を醒まさないかとビクビクしながらパトカーの到着を待った。



パトカーのサイレンの音に奴は意識を取り戻し、俺に殴り掛かってきた。
ようやく頭が冴えてきた俺は冷静に奴のパンチをさばき、乗り込んできた警官に相手は取り押さえられた。

もみくちゃにされながら、葵の父親は言葉にするのがはばかれるほどの暴言を吐き続けていた。

そして最後に、俺に怒鳴った。


「いつか後悔するぞ!」


一体なにを?


押さえ付けられながら部屋を連れ出されたあいつは、ただただ小さな人間に見えた。

最初に突入してきた警官が俺に言った。


「お2人には事情を伺いたいので、署までご同行願えますか」