そのあと、俺は1本の電話を入れ、着替えを済ませた。


葵が起きたらすぐ出かけられるようにとまず朝食の用意をした。
ぱぱっと短時間に食べられるようにと今朝はおにぎりと卵焼きだ。

それからいつも通りに洗濯をし、エアコンを一度止めて簡単に換気をしながら掃除機をかけ、窓を閉めてエアコンを入れなおした。

部屋が冷えて来たころ、インターホンが鳴って、間髪をいれずにドアが開いた。
開けた人物は決まってる。

俺以外に鍵を持っているやつって言ったら、一人だけだからな。


「おう、呼びだして悪いな」

「はー涼しー…お前、外地獄だぞ」


サトはおっさんのように首にかけていた真っ青なスポーツタオルを引っ張って額の汗をぬぐった。


「なんか飲む?」

「コーラ」

「ねえよ」

「じゃあ訊くな」


俺はサトの前にウーロン茶を注いだグラスを置いて、おにぎりを3つ取り分けて渡した。



「腹減ってたら食って」

「さんきゅー」