俺がなんにも言い返せないでうつむいていたら、さっちゃんはさらに続けた。

『日本は義務教育なんだから、学校に行かなきゃいけないわ。専門的なことはわからないけど、小学校と中学校の教育は受けなくちゃいけないの。このままじゃそれもできないでしょう?社会的に安全じゃないのよ』




さっちゃんの言っていることは、俺なんかでもちゃんと理解できた。

わかっていたことのはずだけど、いざ突きつけられるとどうしたらいいのか分からなくなる。



つまり、葵はこの夏限りで俺のそばからいなくなってしまうっていう、ゆるぎない事実がある。






なら俺が今できること。



あの家に行くこと。



行って、確かめること。