「それじゃあ」 「でも、決めるのは葵ですから」 そのとき、カタン、と小さな音がした。 俺たちが同時に音の方を振り向くと、葵が照れたように笑いながら、ドアの所に立っていた。手には空のグラスと皿を持っている。 「ず、ずいぶん長い時間ごめんなさい、あの、描けたので……」 葵はちらり、と俺を見て、「見てもらえるかなあ」と言った。