あの日家に帰ってから、パソコンで「西門礼次郎 絵」で検索をかけてみた。
検索結果は膨大で、一番上には「西門礼次郎オフィシャルホームページ」というものまで表示された。
里奈ちゃん一家と一緒だったことからも、この人は疑う必要がある人物ではないんだと思う。結論までが短絡過ぎと言われたらそれまでなんだけど。


「…葵は、」


俺は言葉を切る。
うまく話せる自信がなかった、信じてもらえないかも知れないと思った。
立ち入ったところまで話す必要なんてないのかもしれなかった。


「葵は、日向葵って名前は本名じゃないんです」





そこから始める必要があった。
礼次郎さんが葵の絵を褒めてくれた。今は、それだけで十分だった。