数日後、朝飯の支度を済ませた頃、俺のケータイに1本の電話が入った。
ディスプレイを見ると、見覚えのない固定電話番号が表示されている。

「はーい」

電話に出ると、聞き覚えのある声が俺の名前を呼んだあとに名乗った。

『谷神君かな、西門だが』


電話はあごと型で挟んだままに、右手にさえばし左手にフライパンを持って白いプレートに目玉焼きとサラダを盛りつけながら俺は頭の中で首をかしげた。


ニシカド、…ニシカド、誰だっけ?


「ニシカド………え」


頭の片隅でチカ、と光ったものがあった。持っていたフライパンを取り落としそうになりながら、訊いた。


「西門礼次郎さんですか!?」